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理工学府長・工学研究院長挨拶


理工学府長・工学研究院長 梅澤 修

横浜国立大学は、「実践性」「先進性」「開放性」「国際性」「多様性」を基本理念とし、科学に基づく知を創造して実践する「実践的学術の国際拠点」として社会に貢献するために、高度な研究を展開するとともに、その研究活動を通して次の時代を担う人材を育成することを使命としています。

私たちは、これらの使命の実現のために様々な改革を推進してきました。2001年には、新制大学としては初となる大学院重点化(部局化)により、教育と研究の組織を、学部を土台とした組織から大学院を中心とした組織に変更し、ものづくりの根幹となる科学技術の教育を担う工学府(教育組織)と科学技術の創生を担う工学研究院(研究組織)を発足させました。

2007年には、分野融合型科学技術に対応でき、広い視野を有する実践的な技術者・研究者を育成することを目的として、スタジオ教育を中心とする PED(Pi-type Engineering Degree)プログラムを博士課程前期・後期に設置しました。グローバル化への対応も進めており、2015年度からは、大学院の講義は英語による実施となり、国際インターンシップ科目も導入しました。さらに、海外大学の大学院と協働し、学生に複数の修士号あるいは博士号を授与するダブルディグリープログラムも設置しています。

2018年には、工学府を発展的に解消して、新たに理工学府を発足させました。これは、継承すべきこれまでのものづくりの根幹となる科学技術の更なる発展に貢献するとともに、これからのものづくりに対して中心的・先導的に貢献できる人材の育成を目的としたものです。これまで、我が国の製造業の国際的な卓越性は、生産現場における生産性の質と量の優位性に大きく依拠してきました。しかし、これら従来型の産業構造においても、イノベーションによる産業力の更なる強化発展が強く求められるようになりました。特に、産業振興が著しい情報通信技術、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、グリーンテクノロジーなどの先端技術に関わる分野においては、これまで産業の発展を支えてきた工学だけでなく、理学に立脚し、理学を包含した、新たな理工学の技術的な取り組みが必要とされています。本学が位置する横浜市や神奈川県には、先端技術に関わる公的研究所や民間企業等が数多く存在しており、各産業分野からもイノベーションの創出を担う人材育成の実現が期待されています。

理工学府の設置によって、これまでも授与していた工学の学位に加えて、化学、物理、数学の領域については理学の学位を授与することが可能となりました。また、理工学府が提供する科目は、横軸として情報系科目群、理学系科目群、工学系科目群、実務系(プロフェッション)科目群という 4種類に、縦軸として学府共通科目、専攻共通科目、専門科目という 3種類に分類され、分かり易く学ぶことができるようになりました。情報系科目の履修は全員が必須となり、工学系の学生が理学系科目も、理学系の学生が工学系科目も学ぶようになったことで、幅広く柔軟な発想が出来る人材を育てられるようになりました。

2021年度からは、社会からの視点を恒常的に理工学府の運営に反映させるための組織として、理工学府運営諮問会議を設置しています。諮問会議では、養成する人材像や大学院教育のあり方、教育への取り組み状況等について、学外有識者を含む委員に諮問しており、そこで得られた助言や提言を基に、理工学府として組織的に学問分野別の質保証、講義内容や方法の調整・改善、教学マネジメント体制などの事項について検討し、教育の質的向上を図っています。

現在、理工学府では博士課程前期で約 750名、博士課程後期で約 160名の学生が約 150名の専任教員のもとで学んでいます。1963年に発足した工学研究科以来の修了者は約 16,000人となり、世界中で活躍しています。これらの先輩に続く皆さんが、世界中から集った仲間と共に、伝統ある「名教自然」の理念のもと、緑あふれる常盤台キャンパスで学業に邁進し、社会のリーダーとなるべき人材として成長されることを期待しています。

理工学府長・工学研究院長
梅澤 修