2018年度 研究トピックス
新生児にウェアラブルデバイス
機械工学ユニット・太田裕貴准教授のグループは、ポリマー、ハイドロゲルなどのソフトマテリアルを使った次世代センサを研究し、新生児医療向けのウェアラブルデバイスの開発に成功しました。これを用いれば、新生児の繊細な肌に装着して、黄疸やバイタルサインを調べることができます。この研究は、読売新聞、日経新聞、日刊工業新聞にて報道されました。
まるで実験?セラミックス解析手法
機械工学ユニット・尾崎伸吾准教授のグループは、脆い性質をもつセラミックス材料の強度ばらつきを、数値解析で再現することに初めて成功しました。これにより、これまで膨大な時間がかかる実験に頼ってきたセラミックスの高品質化が、高精度かつ短時間で実現できるようになります。この成果は、科学新聞や化学工業日報、BSフジ「ガリレオX」などで報道されました。
水の揺れをエネルギーに
海洋空間のシステムデザインユニット・西佳樹准教授のグループは、洋上で生み出す自然エネルギー技術を開発しており、特に水中に置かれた棒状物体の揺動からエネルギーが取り出せる可能性を実証しました。これにより、海洋調査・海洋開発に必要なエネルギーがその場で賄えるようになることが期待されます。この成果は専門誌 Renewable Energy に論文が掲載されました。
自己修復するゲル状物質
先端化学ユニット・渡邉正義教授のグループは、イオン液体と水素結合を利用することで、切断しても接触させるだけで元通りに再生するゲル電解質を開発しました。耐久性に優れ、自在に変形できるフレキシブルデバイスへの応用が期待されます。本研究の成果は専門誌 Advanced Materials に掲載されたほか、日刊工業新聞一面、TBS「未来の起源」など多くのメディアに紹介されました。
国際周期表年記念の受賞
2019年はメンデレーフの元素周期律発見150周年、ならびに国際純正・応用化学連合(IUPAC)設立100周年にあたります。これらを記念して、元素の数に等しい118名に若手化学者貢献賞が IUPAC から授与されることになりました。日本からは2名が選出され、そのうち1名が先端化学ユニットの藪内直明教授に決まりました。元素の一つであるニオブの研究が評価されての受賞です。
ロボットの関節を高効率に
電子情報システムユニット・藤本康孝教授は、ロボットの関節に最適なモーターギヤを開発しました。モーターの回転速度を1/100に減速するときにも90%を超える優れたパワー伝達効率を実現し、外力が加わったときに力を受け流す柔軟さも備えています。この成果は日経新聞、日刊工業新聞、日経ものづくり、日経ロボティクスなど、多数の報道を受けました。
電子を光で自在に操作
物理工学ユニット・武田淳教授のグループは、超短パルスレーザーを用いて位相制御したテラヘルツ光波の超短パルスを発生させ、その電場で電子の動きを自在に操作する技術を実現しました。この成果は、エレクトロニクス技術の速度限界を打破する可能性があり、Nano Letters誌、Nature Communications誌といった世界的に著名な学術誌に論文が掲載されました。
量子ウォークで受賞
酔っぱらいの足取りのように、次に進む方向が無秩序に現れる現象をランダムウォークと呼びます。数理科学ユニット・今野紀雄教授が、これに存在確率、重ね合わせ状態などの量子力学的な性質を加えた「量子ウォーク」を研究しています。このたび、その一連の業績の独創性や他分野への波及効果の大きさが高く評価され、日本数学会解析学賞を受賞しました。