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2020年度 研究トピックス

マルチカラー3Dプリンタ

機械工学ユニットの丸尾昭二教授らは、JST CRESTプロジェクトの中でマルチマテリアル3Dプリンティング技術を開発し、その応用に取り組んでいます。今回、複数種の光硬化性樹脂液滴を入替えたマルチカラー微小構造体の3D造形に成功し、米国光学会のSpotlight on Opticsなどで紹介されました。現在、ガラスやゲルなど多様な材料を用いた造形の応用展開を目指しています。

人工衛星の超小型エンジン

機械工学ユニット・鷹尾祥典准教授のグループは、近年急激に需要が高まっている超小型人工衛星にも搭載可能な推進エンジンを開発しています。本研究では、水を推進剤とするイオンエンジンの3次元プラズマ粒子シミュレーション法を世界で初めて構築し、実験を再現する放電特性の確認に成功しました。本成果は日本航空宇宙学会奨励賞を受賞しています。

船の周囲の波を予測

近年、大型化の著しい船舶の構造安全性確保のため、モニタリングとIoT・情報技術の活用が注目されています。海洋空間システムデザインユニット・岡田哲男教授、川村恭己教授、満行泰河准教授のグループは、計測された船体応答から遭遇波浪情報を推定する方法を開発しました。この成果はJournal of Marine Science and Technology誌等に掲載され、未来の安全技術として期待されています。

高感度なNMR開発と生体分析

核磁気共鳴法(NMR)は化学の主要な分析手法の一つですが、測定感度が低いという問題があります。先端化学ユニット・児嶋長次郎教授のグループは、電磁波パルス列の工夫により信号強度が2倍になる汎用性の高いNMRを開発しました。今まで感度増大法がなかった炭素検出にも適用でき、生体材料への応用を可能にするものです。この成果はJournal of Magnetic Resonanceに発表されました。

レーザによる金属材料の改質

化学応用・バイオユニットの高橋宏治教授は、レーザピーニング等の先進的な表面改質技術により、金属材料を長寿命化するとともに、強度を半減させるような大きな表面欠陥を強度上無害化する手法を開発しました。これらの成果は2020年の日本ばね学会・技術賞を受賞しました。本研究の応用により、金属疲労を原因とした輸送機器や構造物の破壊事故の防止が期待されます。

超伝導プロセッサが省電力に

電子情報システムユニット・吉川信行教授らのグループは、超伝導回路に断熱技術を導入した超省電力マイクロプロセッサの実証に世界で初めて成功しました。現在の半導体プロセッサより5桁以上(冷却用電力を見込んでも2桁以上)も省電力で、高性能コンピュータや量子コンピュータの制御回路への応用が期待されます。この成果はIEEE Spectrumをはじめ多くのメディアで報道されました。

ベンチャーでヘルスケア大賞などを受賞

電子情報システムユニット・島圭介准教授は、自ら設立した合同会社アントラクトと共に、人の転倒リスクの評価手法と転倒防止の訓練を支援する技術を開発、第2回ヘルスケアベンチャー大賞の大賞、第1回ケアテックグランプリ最優秀賞/オムロン賞/日本ユニシス賞、かながわビジネスオーディション2021神奈川県信用保証協会賞など、数々の受賞に輝きました。

超高エネルギー天文学へのブレイクスルー

物理工学ユニットの片寄祐作准教授が行う日中共同実験は、1014電子ボルト台の宇宙ガンマ線観測に世界で初めて成功しました。また天の川からは最強の宇宙線源(ペバトロン)が多数存在することを示しました。これらの研究成果は学術誌Nature Astronomy等に発表され、世界中で注目されています。右図は東京大学宇宙線研究所・若林菜穂氏にご提供いただいたものです。

量子コンピュータでムーンショット採択

物理工学ユニットの小坂英男教授は、総合科学技術・イノベーション会議の提言を受けて設立された大型プロジェクト「ムーンショット」の目標6「2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現」のプログラムマネージャの一人に選ばれました。本学を中心に、他の大学・研究機関を巻き込んだ研究開発がスタートしています。

4教員が文科大臣表彰若手科学者賞

年度末に喜ばしいニュースが飛び込んできました。先端化学ユニットで宇宙生命科学を研究する癸生川陽子准教授、電子情報システムユニットでヘルスケア技術を研究する島圭介准教授、プラズモニクスを研究する西島喜明准教授、光ファイバセンサを研究する水野洋輔准教授の計4名が、文部科学大臣表彰若手科学者賞受賞に内定しました。表彰は2021年度に行われます。