2022年度 研究トピックス
水を原料とする化学合成システム
先端化学ユニットの跡部真人教授は、水を原料とし、電気エネルギーで駆動するクリーンな合成技術の開発に成功しました。持続可能なファインケミカル製造などへの応用に期待されます。ハイインパクトジャーナルである ACS Energy Letters に掲載、日刊工業新聞等でも報道されました。
格子体積が変化しない高容量電池材料
先端化学ユニットの藪内直明教授は、格子体積が変化しないバナジウム系高容量電池材料を開発しました。実用的な超長寿命・高エネルギー密度の全固体リチウムイオン電池の実現に繋がる成果です。ハイインパクト誌 Nature Materials に掲載、日刊工業新聞等、多くのメディアで報道されました。
機械刺激で発光色が変わる刺激応答性有機発光体
先端化学ユニットの伊藤傑准教授は、極微量の発光分子をドーピングすると機械刺激に応答して発光色が大きく変わる有機発光体を開発することに成功し、神戸大学との共同研究によりそのメカニズムを明らかにしました。この成果は、Chemical Communications にて論文発表され、表紙に掲載されました。
生体外で発毛する組織を細胞から生体外で再構築
化学応用・バイオユニットの福田淳二教授は、生体外で高効率に長毛を生み出す技術を開発しました。白髪や脱毛症の治療薬評価や毛髪再生医療などへの応用が期待されます。ハイインパクトジャーナルである Science Advances に掲載、NHK、日本経済新聞、日経バイオテク等多くのメディアで報道されました。
IEEE 国際賞、日本人初受賞
機械工学ユニットの井上史大准教授は、IEEE(電気電子情報通信分野で世界最大規模の学術団体)の Electronics Packaging Society より国際賞「Outstanding Young Engineer Award」を受賞しました。1996 年の同賞の開設以来、初めての日本人の受賞です。三次元実装・集積の研究が高く評価されました。
ロボット折り紙システム
機械工学ユニットの前田雄介教授は、カッティングプロッタとロボットアームを用いて折り紙を自動化するロボットシステムを開発しました。折り鶴を作るために必要な袋折りや花弁折りなどの複雑な動作も実現しています。教育、工芸、産業など多方面への応用が期待されます。
液体金属を用いた伸びるリチウムイオンバッテリー
機械工学ユニットの太田裕貴准教授は、液体金属をポリマーにコートすることで伸縮可能なガスバリアフィルムを実現しました。近年注目されているストレッチャブルデバイスに実装することで次世代のウェアラブルデバイス開発への貢献が期待されます。ハイインパクトジャーナルである ACS Applied Materials & Interfaces に掲載されました。
統計的因果推論~総合効果の統合型推定量
数理科学ユニットの黒木学教授は、総合効果(外的操作による反応変数の変化量)を従来法よりも高い精度で推定するために、いくつかの推定可能条件を融合させた統合型定量を開発し、日本品質管理学会最優秀論文賞や Asian Network for Quality (ANQ) Congress Best Paper Award を受賞しました。
原子層物質における振動モードの特定
物理工学ユニットの片山郁文教授らの国際共同研究グループは、原子層物質においてバレー間散乱に寄与する音響振動モードの一つを電子状態の数値計算と、超高速時間領域分光法を用いて特定しました。この成果はハイインパクト誌 Nature Communications に論文掲載されました。
世界初、光ランダムアクセス量子メモリの原理実証
物理工学ユニットの小坂英男教授は、ダイヤモンド中の窒素空孔中心(NV中心)からなるスピン量子ビットを、独自の手法で高空間分解能かつ高忠実度に制御することに成功しました。ハイインパクト誌 Nature Photonics に掲載されました。
フォトニックデバイスの先駆的研究
電子情報システムユニットの馬場俊彦教授へ、OPTICA より Fellow の称号が授与されました。OPTICA は光分野で最も権威ある国際的な学会です。フォトニックデバイスへの先駆的な貢献が認められました。前年には IEEE から Fellow の称号が授与されています。
IEEE Fellow の称号授与
電子情報システムユニットの落合秀樹教授へ、IEEE より Fellow の称号が授与されました。Fellow の数は会員数の 0.1 %以内に限られています。無線通信の大容量化および低消費電力化に資する通信方式の顕著な研究業績が評価されました。